親友だった猫

小学校3年生から、5年くらい飼っていた猫がいた。
キジトラで、丸まって寝ている姿がおはぎの様だったので、「おはぎ」と命名。


しっぽの先が奇形で丸くなって、
丁度狸のしっぽみたいだった。
顔も少しキツめで、夜に外で出会すと本当に狸。



おはぎは、親猫の遺体の横で、弱って鳴いているところを、親戚が拾ってきて、「私飼えないからそっちでかって」と置いていかれた猫だった。

体調が悪かったのか、来た次の日、起きてみたら絨毯に下痢がなびられていたことを、今でも覚えている。



すごく頭が良くて、私が小学校の登下校するとき、途中まで見送り、お出迎えしてくれた。
母ちゃんに怒られていると、慌てて手をなめに来て、慰めてくれた。


ある時、私がいつもと違う道から下校したとき、
おはぎは夜になっても帰って来なかった。


家族で探しに行くと、いつもお出迎えしてくれるところに、おはぎは座っていた。



中学に入ってからも、変わらなかった。
中学の担任はブサイク、と言っていたが、とても優しい可愛い猫だった。




ある日、おはぎはパッタリ姿を見せなくなった。
2日3日なら、季節の変わり目に姿を見せないこともあったが、4,5日たっても帰ってこない。

毎晩家族で探して歩いた。



一週間が過ぎたころ、近所の八百屋に母が聞いた。
猫を見なかったかと。



「あぁ、何日か前に、そこの道路で猫が引かれてね、ぶっちゃけて気持ち悪かった」





母は泣いて、暫く立ち直れなかった。

私は涙も出て来なかった。
信じられなかったのか何なのか分からないが


今でもたまに、おはぎが近くにいるような気がする。

あの首輪についていた鈴の音も、曲がったしっぽの感触も